生成AIの音声合成技術が普及し、ビジネスやクリエイティブの現場で合成音声を活用する機会が急増しています。2024年3月に文化庁が公表した「AIと著作権に関する考え方」では、開発・生成・利用の各段階でリスクと留意点を整理し、同年7月にはチェックリストを公開しました。ガイドラインに沿って、音声合成を適切に活用するポイントを解説します。
著作権法は「思想または感情を創作的に表現したもの」を保護します。AIが自動生成した音声そのものは、人間の創作性が認められにくいため、原則として著作物とは認められません。ただし、台本や抑揚を人が精緻に設計し創作的寄与が加わった場合は、著作物性が認められる可能性があります。
学習用データの収集には著作権法30条の4が適用されますが、市場への影響が大きいと判断されると違法となる場合があるため、許諾の有無や利用目的を都度確認しましょう。既存の文章や楽曲を読み上げる場合は、その原稿が著作権保護対象かを確認し、必要に応じてライセンスを取得してください。
参照元:文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(PDF)(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf)
① 著作隣接権(実演家の権利)
声優や歌手の実演を録音・送信する権利は実演家に帰属します(著作権法91条・92条の2)。AIで「声真似」を行うと、無断録音や送信可能化とみなされる恐れがあります。文化庁ワーキングチームの資料でも、特定声優に似せた音声生成は権利侵害リスクが高いと指摘されています。
② パブリシティ権・肖像権
著名人の声や名前を連想させる販売・広告は、人格権や不正競争防止法違反につながる場合があります。海外では「Elvis Act(米テネシー州)」などで無断音声利用を禁止する立法が進み、日本でも検討が進行中です。
③ 不正競争防止法
2024年の知財推進計画には、声優の声を模倣したコンテンツを「誤認惹起行為」として規制対象に加える方針が示されました。改正動向に注意を払いましょう。
参照元:文化庁ワーキングチーム資料「生成AIによる声優を模した声の生成・利用と著作権の関係について」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/workingteam/r06_02/pdf/94150601_02.pdf)
日本俳優連合など業界3団体が「無断での生成AI音声利用を禁止し、本人許諾を必須とする」声明を発表しました。声明ではAI音声の使用ルール整備とクレジット表示の明確化を求めています。
参照元:日本俳優連合 共同声明 2024年11月(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/workingteam/r06_02/)
上記のポイントと指針を踏まえ、制作・公開前に権利関係を事前に確認し、契約やクレジット表記、利用範囲を明確にしましょう。
以下のホームページでは、音声合成ソフトに関するさまざまな情報を発信しています。音声合成ソフトの選び方や、音声データを制作する上で知っておくと便利なことなどを多数取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
音声合成ソフトは入力した文字情報などを基に、電話の自動応対やe-learning教材、カーナビ、ゲームのキャラクターなど、さまざまな場面で「声」の役割を担ってくれるものです。
本サイトでは、数ある音声合成ソフトの中でも他社に負けない強みを持った3社を、その特徴ごとに紹介しています。
調整が簡単で質の高い
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芸能人の声を使った
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外国語をメインに
音声合成をしたい
【選定基準】Googleで「音声合成ソフト」と検索して出てきた、14社の中から、以下の条件に当てはまる企業を3社選出しました。(2022年2月調査時点)
・AITalk®
日本語話者が最多。ディープラーニングを用いた先端技術であるDNN音声合成を使った独自エンジン
・コエステーション
声優や芸能人などプロの声数が最多
・ReadSpeker
外国語の種類が豊富で、唯一外国語におけるイントネーション調整が可能。