音声合成の今後

工数やコスト削減に寄与する可能性を持つ音声合成ソフト。将来的な広がりが期待されている一方、悪用されるのではないとの懸念もあります。ここでは、音声合成サービスの今後や課題について解説します。

今後音声合成サービスは広がりを見せる？

音声合成ソフトは、ゲームや動画、テレビやロボットなど、さまざまな分野での活用が可能です。すでに多くの領域で利用されていますが、今後も音声合成の技術やビジネスは拡大することが予想されています。

音声合成に関わる技術は日々進歩しており、よりリアルな声を再現できるように技術開発が進められています。そのため、今後はより少ない工数で人並みの音声を再現できたり、低価格のサービスが登場したりする可能性もあります。さらに多くの分野・領域に拡大することも考えられるでしょう。

音声合成が抱える課題

悪用される可能性

一方、音声合成ソフトで懸念されているのが悪用です。音声合成は、とてもリアルな音声を再現できるため、本物の人間が話していると勘違いする方が出てくる可能性もあります。海外では、実際に音声合成を悪用して大金を騙し取られた詐欺事件が2019年に発生しました。日本でも同じように、悪用されるリスクが潜んでいます。

音声合成ソフトは、適切に利用すればコスト削減に寄与し、ビジネスの可能性を広げてくれます。しかし、日本でも海外のような事件が起こってしまうと、音声合成ソフトに対するネガティブな印象を持つ方が増えてしまうでしょう。悪用を防止するには、サービスの普及に合わせて法整備を行うなど、何らかの対処が必要といえます。

声を使って働く人達のしごとはなくなる？

音声合成ソフトの普及に合わせ、もう一つ懸念されてるのが「声の職業」への影響です。アナウンサーやナレーター、声優など、自身の声を生業とする方は少なくありません。音声合成ソフトの台頭によって仕事を奪われるのではないかと懸念されています。

しかし、音声合成ソフトで自然な音声を再現するのは難しく、声の職業の代替手段にはなりません。リアルタイム性や表現の幅が求められる場合、アナウンサーや声優らに軍配が上がります。いずれにせよ、目的によって使い分けることが重要といえます。